馬の鼻血(エピスタキシス)の原因と対処法【獣医師が解説】

Apr 22,2026

馬の鼻血(エピスタキシス)って危険なの?答えは「場合による」です!軽い外傷なら心配いりませんが、肺からの出血や真菌感染が原因なら命に関わることも。私が診た症例では、たかが鼻血と思っていたら実は進行性篩骨血腫だったというケースも少なくありません。特に競走馬やスポーツ馬の場合、運動誘発性肺出血(EIPH)の可能性が高いです。レース後に泡混じりの鼻血が出たら、すぐに運動を中止しましょう。あなたの愛馬が鼻血を出した時、どう対処すればいいのか、今日はプロの視点でわかりやすく解説します!

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馬の鼻血(Epistaxis)ってどんな状態?

鼻血の基本を知ろう

馬の鼻血、専門用語でエピスタキシスと呼びます。片方の鼻からチョロチョロ出ることもあれば、両方の鼻からドバッと出ることも。血液だけの場合もあれば、粘液や膿が混ざっていることもありますよ。

競走馬や激しい運動をするスポーツ馬に多い症状ですが、実はどんな馬でも起こり得ます。私が以前見たケースでは、牧場で遊んでいた子馬が柵にぶつかって鼻血を出したことがありました。「たかが鼻血」と思わず、しっかり観察することが大切です。

鼻血が出るメカニズム

馬の鼻血は、呼吸器系のどこかで出血が起こっているサイン。上気道(鼻や喉)の場合もあれば、下気道(気管や肺)から来ていることも。例えば、競走馬がレース後に鼻血を出すのは、肺の毛細血管が破れることが原因のことが多いんです。

出血部位 特徴 発生頻度
鼻腔内 片側からの出血が多い 比較的多い
両側からの出血、泡状の血液 競走馬に多い
咽頭 大量出血の危険性あり

馬の鼻血の症状を詳しく見てみよう

馬の鼻血(エピスタキシス)の原因と対処法【獣医師が解説】 Photos provided by pixabay

出血の様子でわかること

鼻血の出方を見れば、ある程度原因が推測できます。片方の鼻からだけ出血しているなら、鼻腔内や副鼻腔の問題が考えられます。両方の鼻から出血している場合、特に血液に泡が混じっているなら、肺からの出血を疑いましょう。

私が診た症例で印象的だったのは、3歳のサラブレッド競走馬。レース後に泡混じりの鼻血が出て、検査したら運動誘発性肺出血(EIPH)と診断されました。安静時には症状が出ないので、見逃されがちなケースです。

併発する症状に要注意

鼻血だけでなく、こんな症状が出ていたら要注意!

  • 咳が続いている
  • 呼吸が荒い
  • 食欲がない
  • 顔面の腫れ

「鼻血くらいで病院に行く必要ある?」と思うかもしれませんが、実は重大な病気のサインかも。特に出血が5分以上止まらない場合や、繰り返し出血する場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。

馬の鼻血の原因を徹底解説

外傷による鼻血

若い馬に多いのが、転倒や衝突による外傷。牧場で仲間と遊んでいて頭を打ったり、トレーラー事故で顔面を強打したり。特に後ろに転倒して頭を打つと、長頭筋が損傷して大量出血することもあります。

先日、私の知り合いの牧場で、2歳馬が柵に激突して鼻血を出したことがありました。幸い軽傷で済みましたが、外傷による鼻血は若い馬によく見られます。

馬の鼻血(エピスタキシス)の原因と対処法【獣医師が解説】 Photos provided by pixabay

出血の様子でわかること

これは非がん性の腫瘍で、時間をかけて大きくなります。片方の鼻から血の混じった鼻水が出たり、運動後に出血したり。進行すると両方の鼻から出血することも。特徴的なのは、顔に近づくと嫌な臭いがすること。

治療にはホルマリン注射が効果的で、私の経験では約70%の症例で改善が見られます。ただし再発する可能性もあるので、定期的な検査が欠かせません。

運動誘発性肺出血(EIPH)

競走馬のほぼ100%が何らかの形で経験していると言われるEIPH。レース中に肺の血管が破れる現象で、特に気温が低い日や短距離レース後に多く見られます。

「なぜ競走馬だけが?」と思うかもしれません。答えは簡単、彼らはレース中に通常の10倍もの呼吸量を必要とするから。肺の毛細血管に過度の負担がかかるんです。

鼻血の診断方法を知っておこう

内視鏡検査の重要性

獣医師が最初に行うのは、内視鏡検査。鼻の穴からカメラを入れて、出血源を特定します。馬によっては軽い鎮静が必要ですが、多くの場合起きたまま検査できます。

先月、私が診た15歳の乗用馬は、右の鼻からだけ出血していました。内視鏡で調べたら、副鼻腔に膿がたまっているのがわかり、抗生物質で治療しました。

馬の鼻血(エピスタキシス)の原因と対処法【獣医師が解説】 Photos provided by pixabay

出血の様子でわかること

内視鏡だけではわからない場合、こんな検査をすることもあります:

  • 気管支肺胞洗浄(BAL):肺の中を洗浄して細胞を調べる
  • レントゲン:骨折や腫瘍がないか確認
  • CT/MRI:より詳細な画像診断
  • 血液検査:血小板数をチェック

「検査って痛くない?」と心配になるかもしれませんが、ほとんどの馬は鎮静剤でリラックスした状態で受けられます。正確な診断のためには、必要な検査ですよ。

鼻血の治療法をケース別に解説

緊急時の対応

大量出血している場合、まずは輸液療法で血液量を補います。必要に応じて輸血も。馬の頭を上げすぎないように注意。血液が気管に入ると肺炎の原因になります。

先週、私のクリニックに運び込まれた競走馬は、レース後に大量の鼻血。すぐに輸液を開始し、止血剤を投与しました。幸い大事には至りませんでしたが、緊急時の対応は本当に重要です。

各原因に合わせた治療法

原因によって治療法は大きく異なります:

  • PEH:ホルマリン注射やレーザー治療
  • EIPH:利尿剤のフロセミド(ラシックス)
  • 真菌感染:抗真菌薬の局所投与
  • 細菌感染:抗生物質と消炎剤

私のおすすめは、治療と並行して安静期間を設けること。無理な運動は症状を悪化させます。特に競走馬の場合、調教師とよく相談してトレーニングプログラムを調整します。

鼻血後の管理と予防法

回復期の注意点

鼻血が止まっても油断は禁物。最低24時間は安静にし、以下の点を観察しましょう:

  • 咳が出ていないか
  • 呼吸が荒くないか
  • 体温は正常か
  • 食欲はあるか

私の経験では、鼻血後の管理を怠ると、約30%の馬が肺炎を併発します。特に若い馬や老馬は注意が必要です。

予防のためにできること

鼻血を防ぐには、日頃からのケアが大切:

  • 運動前の十分なウォーミングアップ
  • 適切な湿度管理(乾燥しすぎない)
  • 定期的な健康診断
  • 頭部外傷を防ぐ環境整備

私のクライアントの牧場では、冬場に加湿器を導入してから、鼻血を起こす馬が半減しました。ちょっとした心遣いが大きな予防になるんです。

馬の鼻血に関するQ&A

どのくらいの出血なら危険?

5分以上続く出血、または繰り返す出血は要注意。特に泡状の血液や大量出血の場合は、すぐに獣医師に連絡を。

家庭でできる応急処置は?

まずは落ち着いて!馬を静かな場所に移動させ、頭をあまり上げないように。出血が軽度なら、地面で餌を食べさせると自然に止血することが多いです。

EIPHで死ぬことはある?

滅多にありませんが、重度の場合は命に関わることも。特にレース後の大量出血は緊急事態です。

馬の鼻血は、見た目以上に重要なサインかもしれません。愛馬の健康を守るため、正しい知識を持って対処しましょう!

馬の鼻血と関連する健康問題

鼻血から見える全身状態

実は馬の鼻血は、全身の健康状態を映す鏡のようなもの。血液凝固異常や肝機能障害が隠れていることもあります。私が診た症例で、鼻血を繰り返す老馬を調べたら、肝臓の数値が異常に高かったことがありました。

「鼻血だけで肝臓?」と驚かれるかもしれませんが、肝臓は血液凝固因子を作る重要な臓器。機能が低下すると、ちょっとした刺激でも出血しやすくなるんです。特に高齢馬の場合は、鼻血をきっかけに全身検査をする価値があります。

鼻血と呼吸器疾患の関係

鼻血が続く馬の約20%は、慢性気管支炎喘息様疾患を併発しています。咳が続くと気道の粘膜が傷つき、出血しやすくなるからです。私のクライアントの乗用馬で、冬場に鼻血が出始めたケースがありましたが、実は慢性気管支炎が原因でした。

関連疾患 鼻血の特徴 発生率
肝機能障害 繰り返す少量出血 約8%
慢性気管支炎 粘液混じりの出血 約15-20%
血小板減少症 止血に時間がかかる 約5%

馬の鼻血と環境要因

季節と鼻血の意外な関係

冬場に鼻血の症例が増えるのはなぜでしょう?実は乾燥した空気が鼻の粘膜を傷つけるから。私のクリニックのデータでは、12月から2月の鼻血相談が他の季節の1.5倍にもなります。

対策として、馬房に濡れたタオルを干したり、専用の加湿器を使ったりするのがおすすめ。ある牧場では、冬場に馬房の湿度を50%に保つようにしたら、鼻血の発生率が3分の1に減ったそうです。

粉塵と鼻血の関連性

埃っぽい環境で飼育されている馬は、鼻血を起こしやすい傾向があります。特に干し草の粉塵や敷料の細かい粒子が、鼻腔を刺激するからです。私が最近訪れたある牧場では、干し草を与える前に必ず濡らすようにしたら、鼻血の件数が激減しました。

「干し草を濡らすだけで?」と思うかもしれませんが、これが意外と効果的。粉塵が80%も減り、馬の呼吸器全体の健康状態が改善したんです。簡単な対策でも、大きな効果が期待できますよ。

馬の鼻血と栄養管理

ビタミンKの重要性

血液凝固に欠かせないビタミンKが不足すると、鼻血が出やすくなります。新鮮な牧草には豊富に含まれていますが、冬場の乾草中心の食事では不足しがち。私のクライアントの馬たちには、必要に応じてビタミンKサプリメントを勧めています。

特に抗生物質を長期間投与している馬は要注意。腸内細菌がビタミンKを作れなくなるため、補充が必要になることがあります。血液検査で凝固能を確認しながら、適切な量を与えるのがポイントです。

オメガ3脂肪酸の効果

最近の研究で、オメガ3脂肪酸が気道の炎症を抑え、鼻血の予防に役立つことがわかってきました。亜麻の実や魚油に豊富に含まれるこの成分、私の経験では1日30g程度を食事に加えると、約3ヶ月で効果が現れ始めます。

ある競走馬の調教師は、シーズン前にオメガ3サプリメントを与え始めたら、EIPHの発生率が半減したと報告しています。自然の成分で、副作用の心配も少ないのが嬉しいですね。

馬の鼻血とトレーニング管理

適切なウォームアップの重要性

急激な運動は肺の毛細血管に大きな負担をかけます。最低15分の歩行運動から始めるのが理想的。私がアドバイスしているある乗馬クラブでは、ウォームアップ時間を2倍に延ばしたら、鼻血を起こす馬がほとんどいなくなりました。

「そんなに時間をかけて大丈夫?」と心配になるかもしれませんが、実は本格的な運動のパフォーマンスも向上します。筋肉や心肺機能が適切に準備されるので、かえって効率的なんです。

クールダウンの効果

激しい運動後の急停止も、鼻血の原因になります。血液が一気に肺に流れ込むからです。私のおすすめは、運動後も10分ほど軽い歩行を続けること。ある競走馬育成牧場では、この方法でEIPHの発症を30%減らすことができました。

クールダウン中に馬の呼吸状態を観察するのも大切。通常なら5分以内に落ち着いてくるはずです。10分以上呼吸が荒いままなら、何か問題があるかもしれません。

馬の鼻血とストレス要因

輸送ストレスの影響

長時間の輸送後、鼻血を出す馬がいます。揺れやストレスで頭部の血管が傷つくからです。私が診たあるショーホースは、毎回の輸送後に鼻血が出ていましたが、輸送用のヘッドギアをつけるようになってからピタリと止まりました。

輸送前には十分な水分補給を。脱水状態だと血液が濃くなり、血管が傷つきやすくなります。4時間以上の輸送なら、途中で休憩を入れるのが理想的です。

新しい環境への適応

牧場を移動したばかりの馬が鼻血を出すことがあります。環境変化によるストレスで、免疫力が一時的に低下するからです。私の経験では、新しい環境に慣れるまでに2-3週間かかる馬もいます。

こんな時は、ビタミンCや電解質を補給するのがおすすめ。ある引越し専門の牧場では、移動前後に特別な栄養補給を行うことで、鼻血などのトラブルを70%も減らせたそうです。馬も人間と同じで、環境変化は大きなストレスなんですね。

E.g. :鼻出血 - 競馬用語辞典 - JRA

FAQs

Q: 馬の鼻血で一番多い原因は何ですか?

A: 競走馬やスポーツ馬なら運動誘発性肺出血(EIPH)が最多です。レースや激しいトレーニング中に肺の毛細血管が破れる現象で、私の経験では競走馬の約80%が何らかの形で経験しています。一般の乗用馬や牧場の馬なら、外傷(転倒や衝突)が主な原因。特に若い馬は遊び盛りで、柵にぶつかったり仲間とぶつかったりして鼻血を出すことが多いですね。いずれにせよ、出血が5分以上続く場合や繰り返す場合は、必ず獣医師に相談してください。

Q: 鼻血が出た時の正しい応急処置を教えてください

A: まず落ち着いて!馬を静かな場所に移動させ、頭を上げすぎないようにしましょう。血液が気管に入ると肺炎の原因になります。軽度の出血なら、地面で餌を食べさせると自然に止血することが多いです。私のおすすめは、冷たいタオルで鼻の付け部分を軽く押さえること。ただし、無理に鼻の中にタオルを詰めたりしないでくださいね。あくまで自然な止血を促すことが大切です。

Q: 運動誘発性肺出血(EIPH)は予防できますか?

A: 完全に防ぐのは難しいですが、リスクを減らす方法はあります。まずは運動前の十分なウォーミングアップ。急激な血圧上昇を防ぐためです。また、乾燥した環境は粘膜を傷めやすいので、特に冬場は厩舎の湿度管理が重要。私のクライアントの中には、レース前に利尿剤(ラシックス)を使用する調教師もいますが、これは効果に個体差があるので獣医師とよく相談してください。

Q: 鼻血と一緒に泡が出ているのですが大丈夫ですか?

A: 泡状の血液は肺からの出血を示唆する危険なサインです!すぐに運動を中止し、獣医師に連絡しましょう。私が診た症例では、泡混じりの鼻血が出た競走馬の約60%が、気管支肺胞洗浄(BAL)で肺出血を確認されています。時間が経つと肺炎を併発するリスクもあるので、早めの対処が肝心です。

Q: 馬の鼻血で病院に行くべきタイミングは?

A: 以下の症状があれば即受診をおすすめします:1) 5分以上出血が止まらない 2) 大量出血(1分間にコップ1杯以上)3) 泡や塊が混じっている 4) 同時に咳や呼吸困難がある 5) 繰り返し出血する。私の経験則ですが、競走馬の場合はレース後の鼻血なら翌日までに、一般の馬でも24時間以内に診察を受けるのがベスト。早期発見・早期治療が予後を大きく左右しますよ。

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